山崎豊子氏の「白い巨塔」がとてもおもしろかったので、次に「不毛地帯」を読みました。
結論からいうと、この作品は好きな人は好きでしょうが、興味のない人には興味がないという感じ。
一般的には名作です。
社会派小説が好きな人にはおすすめです。
なぜなら、この小説はいわゆる経済小説なので、ビジネスの話が主体で、商社の熾烈な戦いとかに興味がない人にはちょっと退屈になるところがあると思います。
私自身も後半の石油の争奪戦の下りは結構読み飛ばしました。
もちろん、人によって読み方が違うので、なにが正しい読み方とかいうものはないのでしょうが、私はもともとこの小説のモデルになっている「瀬島龍三」という人に興味があって読み始めたので、、主人王が業務本部長になって組織づくりをしたりというくだりのほうがおもしろく読めました。
小説の初めに、この小説はすべてフィクションだという注意書きがありますが、主人公の壱岐正は間違いなく「瀬島龍三」であるし、名前は変わっていますが田中角栄を思わせる人物が出てきたりと、当時の時代にパラレルに話が進行しています。
個人的には、瀬島龍三という人は好きなほうだったんですが、最近旧ソ連のスパイ説が有力になってきていて、ちょっと評価が落ちています。
この点については、どこか別の機会にまとめてみたいと思います。
ご本人も亡くなられて、最近「瀬島龍三」といってもあまりビンときませんが、30年ぐらい前のわたしが学生だったころは割と有名な方でした。
陸軍の参謀本部出身の人が、民間の商社に入っても成功し、あらためて陸軍の士官学校の優秀さを思ったものです。
優秀な点については、海軍の兵学校もそうで、わたしが若いころは、まだ卒業生の方が元気に活躍されておられて、そうした方々はやっぱり優秀で、うらやましく思ったものでした。
そういした思いがあったので、「瀬島龍三スパイ説」はちょっと残念な感じです。
旧ソ連のバックアップがあっての成功とかだと、がっかりですね。。。
「不毛地帯」という小説は、20代のころ1回読んだのですが、全然覚えていませんでした。
いま読み返すと、ちょっと主人公がきれいごとを言っている割に、やっていることは結局えげつないことばかりなので、主人公に感情移入はできませんでした。
もっとも、そういう感想を読者が持つこと自体、山崎豊子氏の意図がうまくいったように感じてなりません。
まったく社会派小説っていう感じですねえwww