リクルートといえば、今日では知らない人はいない大企業です。
昭和40年生まれの私にとっては、リクルートという響きは、なにか若い人たちがどんどん新しいことをやって、時代の先端を行く、みたいな印象があります。新しい会社のイメージなんですけどね。
創業者の江副さんは、リクルート事件で悪い印象になってしまいましたが、個人的には日本を代表する実業家になってほしかった。
この大下英治さんの「リクルートの真相」は、ぜひ若い社長さんに読んでほしい内容です。
特に2つの点で一読する価値があると思います。
ひとつは、ただの学生の集まりであったリクルートが、大企業になっていく過程が描かれていますが、いまの時代からみても非常に自由でユニークな発想を持っており、非常に参考になること。
2点目は、江副氏がなぜ最後は人間が変わってしまったのかの原因がはっきり書かれていること。すなわち、大きくなって政治家と関係を持ってからおかしくなったということです。
企業が大きくなると、どうしても政治的なつながりがでてきたり、必要になってくるのは仕方がありません。しかし、政治の魔力ということに対する予防は歴史に学ぶしかありません。
最近の都議会の野次問題などもそうですが、低レベルの人間たちが、善人のふりをして税金を使って世の中を食い物にしている姿が、本書の内容に重なって、行き場のない怒りを感じました。
これからの時代を担う若い人たちが、道をあやまらないことを心から祈ります。