今年のNHKの大河ドラマ「いだてん」が相変わらず苦戦しています。
ついに宮藤官九郎が脚本をおろされるんじゃないか、などという話もでてきています。
そもそもがあまり知らない人が主人公なところが当たらない原因なんでしょうかねえ。大河ドラマも水戸黄門の印籠みたいに、戦国時代とか幕末とかはっきりみんなに人気があるときでないといけないんでしょうか。
世間ではいろいろいわれていますが、個人的には冒険をしている今年の大河ドラマのスタッフはもっと評価されていいと思います。
そもそも、大河ドラマの記念すべき第1回が舟橋聖一の「花の生涯」だったんですから。
最近「花の生涯」という本を置いてある本屋みかけなくなりました。昔は結構置いてあったんです。
舟橋聖一という作家は昔は結構有名だったんすが、最近聞かないですね。いわゆる文豪ってやつです。
ちなみに、舟橋聖一の生誕の地は、両国国技館のすぐ脇にあります。
司馬遼太郎が人気が出て、井伊直弼はすっかり悪役が定着していますが、昔から井伊直弼は悪役イメージだったようです。
その井伊直弼を善玉として扱ったのが、この「花の生涯」という小説です。
記念すべき第1回なんだから、「忠臣蔵」とかやっておけばよかったのに、実際後でやっています、わざわざ人気が出そうもない井伊直弼の話を持ってきたところに、なにか当時のNHKのスタッフの気概を感じます。
井伊直弼が主役のドラマが第1回とは、冒険だなと感じるのはわたしだけでしょうか。
いまなら、ユーチーブで最終回だけ見れますね。
まあ、これだけだったら、反骨精神にみえるのはたまたまだったかもしれませんが、第8回の大河ドラマに「樅の木は残った」をもってきています。
大ヒットしたいまだから、あたりまえになっていますが、当時の記録を見てみると、地元仙台ですら「原田甲斐」の主人公で大丈夫なんだろうかと、大反対だったそうです。
それが、放送が始まるとじわじわ人気が出てきて、そのうちに観光地になるまで人気が出たそうな。
この「樅の木は残った」も、ずっと歴史的には悪役だったのを、山本周五郎が定説をひっくり返したという点では、「花の生涯」に似たところがあります(井伊直弼は原田甲斐ほど定説がひっくりかえってはいませんが)。
そもそも、原作者の山本周五郎はこの「樅の木は残った」を書きたかったので小説家になったというくらいですから、読んでいて執念を感じます。興味のある方はご一読を!
ちょっと駆け足ですが、上記の大河ドラマ2作品だけでも、そもそも大河ドラマは本来冒険的なところがあるように思います。
結果、そのときは人気がなくても、数年後高い評価を受けている作品もありますので、「いだてん」もまだ本当の評価はわかりませんよ。